トワイライトエクスプレス上り列車乗車記(ロイヤル) 2014年6月19〜20日 トワイライトエクスプレス上り列車乗車記(ロイヤル)

2014年5月28日、JR西日本からあの衝撃的な報道が発表されました。
それは3月末のバースデイ遠征にて乗ったばかりのトワイライトエクスプレスが、来年2015年3月のダイヤで正式に運行終了するというニュース。。。
私はバースデイ遠征で下り列車を1人用B寝台個室シングルツインで利用しましたが、さらに上のランクの1人用A寝台個室ロイヤルに上り列車でリベンジしたく、
いつ廃止報道されてもおかしくない予感がしていましたので、報道前に夏の毎日運転日に寝台券の確保に照準を合わせていたところでした。
そして廃止報道の9日前の5月19日、その日からトワイライトEXPの夏季毎日初日のが発売されるため、
最寄りに上りのロイヤルが確保できるまで毎日10時打ちをお願いしたところ、なんと初日で確保に成功!
その後廃止報道をニュースを知り、もう今回のチャンスを逃したらトワのロイヤルなんて二度と乗れないことを悟り、何事も無く穏やかな天気で乗車当日を迎えられることを、
強く祈っておりました。今年は梅雨のないはずの北海道でも大雨に見舞われ、乗車日の前の週では立て続けに打ち切りや運休がありましたが、
乗車日当日は前日の下り運転日を含め、道中荒れた天気になることもなく無事乗車当日を迎えることができました。

前編:最高峰のおひとリッチルーム

北海道の中核都市、札幌
前回は大阪からあの夢の寝台列車で札幌に降り立ったが、今回は逆。
札幌から大阪へ長い旅路を行くことに。


一旦改札を出て駅デパで宴をするための買い出しをし、13:40頃再び改札へ。
向かうは4番線、発車案内には「寝台特急 トワイライトエクスプレス」の文字が輝いていました。
 

ホームに上ると5番線に785系すずらん4号が待機していました。
トワイライトEXPより先に札幌を出発します。


一方4番線側には乗客がカメラを手にして到着を待っているくらいで、廃止報道されたとは言えまだ3週間ほどしか経っていない平日なのか、
そこそこ程度に賑やかでした。

しばらくすると3点チャイムの後に、
「お待たせしました、まもなく4番線に14時05分発大阪行 臨時寝台特急トワイライトエクスプレスが到着いたします。
危険ですので白線より下がってお待ちください。」
との接近自動アナウンスが。高まる気持ちと緊張感が交錯する時がやってきました。

そして、785系の横から威風堂々とトワイライトEXPのHMを装備したDD51機関車が入線。
 



今回の牽引機は前回乗車時重連後方だった143号機が先頭で、後方は137号機でした。
(拡大する) 



この高級感あふれるエンブレム、何度見てもいいですねぇー
今回も長旅よろしくお願いします!


発車まで16分停車しますが、すぐに乗車口へ。 前回は5号車から乗車しましたが、今回は2号車から。遂に憧れのA寝台に潜入です!


開いたドアの目の前にはエンブレムが刻まれたカーペットが早くも豪華さを漂わせています。


車両番号スロネ25-501。
ロネ、いわゆるA寝台乗ること自体初でわくわくしてきます♪
トワイライトエクスプレスの24系客車は3編成あり、一番下位の数字が編成を示しています。したがって今回乗車するのは第1編成ということに。


「A個室」と書かれた自動ドアを潜り


窓側に配置されている細い廊下を歩きます。
以前乗ったB寝台個室よりも照明がおしゃれで廊下の窓にもカーテンが付けられており、早くも差を感じさせる雰囲気が。


今回のお部屋「2号車4番」。
いい日旅立ち2-4(西)へという、何ともいい語呂合わせ♪


さぁ入室!
その瞬間とても列車の中とは思えない広々で豪華絢爛なA寝台個室「ロイヤル」の室内に息を呑まれました。


では、長くなりますが設備を一つ一つご紹介。
発車前に全部撮影し切れず一部発車後に撮影したものがありますのでご理解とご了承を。

まず枕木方向壁一面に配置されている大きなソファー。
肌掛けと浴衣と枕が置かれています。これをおやすみの時ベッドに転換させるのですが、それは後ほどご紹介。


入り口付近の天井にも肌掛け(後で撮ったものなので取り出されています)、浴衣、枕があります。
ロイヤルは1人部屋でありますが、シングルツイン同様追加料金を払うことで2人でも利用できるため一部2人分置かれている設備があります。


窓側にはテーブルが2つあり、1つは畳んで出し入れできますが、もう一つは固定されておりおしゃれな電気スタンドと
灰皿(A寝台は全て喫煙可)、ミニボックスティッシュ、部屋のご利用案内、アメニティポーチ、雑誌といたでりつくせり。
 

部屋のご利用案内にはオリジナルのポストカード、封筒、メモ用紙、ボールペンなどが同封されており、
冊子本体を除いてすべて記念に持ち帰ることができます。


アメニティポーチの中には石鹸、シャンプー・リンス、歯ブラシ、くし、カミソリはもちろんのこと、
シャワーキャップ、化粧水、ヘアリキッドも付いてエコノミーなビジネスホテル以上の充実した内容。


電気スタンドはソファー窓側にあるコントロールパネルでON/OFFおよびつまみで明るさを調整可能。
同じくソファー上にある室内灯(写真左下)もON/OFFと明るさ調整ができ、入り口付近足元にある床灯(写真右下)のON/OFFもここで行います。
あとアラームの設定もこのコントロールパネルで。これで朝食の時間前に起きれるか心配な人でも大丈夫です。


 

室内灯は入り口付近にあるスイッチでもON/OFF可能


空調のコントロールは同じく入り口付近のスイッチで行います。
最初は「切」になっているためこの夏は室内がとにかく蒸し暑いので、入室したらすぐに「強」にして室温をクールダウンさせましょう(汗)
あとは「弱」にして体感に応じて調整すればOKです。


B寝台にはハンガーがあるけど、A寝台にもあるはずなのにあれ?と思うかも知れませんがご心配なく。
入り口付近(入って右側にソファーがある部屋は窓際)に、縦長いクローゼットを備えておりハンガーが3つ付いています。
洋服ブラシもあり、VIPなお客さんでも安心。
なお、出し入れする際はハンガー掛けの棒を手前に引き出してから衣類を掛け外します。


クローゼットと後述するシャワールームの間にはドライヤーと、あまり使うことはないでしょうが食堂車へコールするための受話器が設置されています。


その下にはテレビ


と、さらにその下にコントロールパネル。
BSは残念ながら映らないが、映画2作品が1・2ch、車内案内が3chに内蔵されています。車内BGM(FM)も流すことが可能。
あと今の時は不要なものの、晩秋〜初春に必要な暖房なスイッチもここにあります。


B寝台個室にあるコンセント。当然A寝台にもございます。
電気スタンドテーブルの下に400Wまで使用可能なコンセントが1口。


その付近にはゴミ箱も置かれています。


入り口は玄関のような造りになっており、トワイライトエンブレム入り使い捨てスリッパがあります。
もちろん使わずお持ち帰りもOK。


さて、時刻表等で「SA1」と表記され、特別A寝台1人用個室のシンボル的なのがこのシャワールーム。
B寝台利用の場合、シャワーカードを別途購入(320円)し決められた時間内にしか使えませんが、
A寝台なら20分間の制限時間が残っている限り、いつでも好きなだけ使うことができます。


その横には何やら収納式のユニットがあります。


上は洗面台


下はトイレとなっています。
洗浄ボタンは、ユニット左右どちらかのサイド中央に配置されています。


天井にはフェイスタオルとバスタオルが。
シャワーを使う前に部屋へ移動させておきましょう。


なお、バスマットは予めシャワールーム入り口にセッティングされています。


手すりの下には石鹸とトイレットペーパーが配置されています。


トイレットペーパーは蓋が付いてますが、ちゃんと蓋をしてもこのようにシャワーのお湯が入り込んでしまうので、
取り外した方が無難。


トイレ横にもゴミ箱があります。


トイレ頭上には便座シートもあります。
1人で部屋利用するにしてはまず使わないですが、2人で利用するにしても気の合う人同士なはずですし潔癖症な人しか使わないような気がしますw


便座シート反対側の引き出しには歯磨き用のコップが収納されています。


最後に入り口付近には蓋付きのコンセントが。
ただジメジメしたシャワー室で電子機器充電するのはちょっと・・・防水機能あるものならOKなんですがねぇ。
マルチタップを持参して部屋にあるコンセントだけで賄った方が個人的にはオススメです。


以上、A寝台ロイヤルの設備を紹介しましたが
以前利用したB寝台シングルツインとは比較にならない充実した設備で、まさに「走る豪華ホテル」として相応しいです。
特に洗面台とトイレも完備したシャワルームの存在が大きく、食堂車で食事をする時以外ずっと部屋から出ることなくくつろげる点は、最大の魅力と言ってもいいでしょう。
部屋での過ごし方については、シャワー利用後トイレ行くのに濡れた床を歩くことになるので素足がベストかと思います。
外出する時だけ、靴下を履いての移動がいいでしょう。ただし駅のホームや食堂車にスリッパで立ち入るのはダメ!


室内を色々と物色していると、出発前に食堂車のスタッフがドアをノックしてきてウェルカムドリンクの注文から、
翌朝の朝食時間の予約、さらにはモーニングサービスのドリンクまで伺ってきました。
ウェルカムドリンクとモーニングサービスはA寝台利用者のみの特典。朝食予約も早速予約を承るあたり、優先されているところがあります。

ウェルカムドリンクは、梅酒、赤/白ワイン、ウイスキー、コーヒー、紅茶、オレンジジュースの中から選択。
とっくに成人済の私は当然ながらアルコールを選ばせていただきますがw
梅酒とワインで少し迷いましたが、梅酒がトワイライトオリジナルボトルであることに釣られそれに決めました。


その後車掌さんが検札とカードキーの交付にやって来ました。
前回と同じく「トワイライトEXPの利用は初めてか」と訊かれ、
私「ロイヤルは初めてです、以前シングルツインを利用したことがありますが違いと言ったらシャワールームがあるくらいですよね?」
と返すと概ね理解していると見なしたのか、速やかに次の部屋の検札へと向かっていきました。

14時05分、皆様の夢を乗せたトワイライトエクスプレスは札幌駅を発車します!
早速いい日旅立ちのメロディーが流れました。今度は北の大地から西へ向かうことになりますが、
これから始まる長い旅路を盛り上げてくれる演出であることには変わりありません。

しばらくして、ウェルカムドリンクが運ばれてきました。
注文した梅酒のミニボトル他、おつまみと缶のお茶、使い捨てコップも付いてきます。


梅酒はトワイライト乗車記念のタグが付いている、まさにトワイライト限定の梅酒。
ブランデー仕込みで、普段飲んでいる梅酒より濃厚で味わい深い仕上がりとなっていました。
 

ロックでいただいた他、自前で用意した炭酸水で割っても美味。
なお、車内販売(620円)もされています。


グラスやトレーを使えるのならそのまま使っていたいですが、
21時までに回収するのでお済みになったら通路に置いてくださいとの旨。


早速優雅な気分に浸っていると、すぐに南千歳に停車。
部屋の窓がジョイフルトレイン並の大きな一枚窓となっているため、すれ違った721系をはっきりと捉えることができました。
 

新千歳空港もワイドに眺めることができます。


南千歳を発車すると、食堂車でティータイムの準備ができたということで食堂車へ。
入り口で待ちましたが、中へ案内されないどころかB寝台側からも入ってくる様子がなかったためあれ?と思い、
改めてスタッフに訊いてみると大丈夫でしたので中へ。ちなみに一番乗りでした(笑)


注文してしばらく待ってもなかなか来店する客がいなく、ティータイムそんなに人気無いのかなぁと気になっていると、
徐々に客が増えてきました。
下りではランチタイムがあるのに対し、上りは出発時間が遅いためティータイムとなり、メニューも少ないのですが
あれ?こんなものなのかなぁとちょっと不安になったり。。。

しばらくして注文品が到着。
まずはブレンドハーブティー(620円)。カップに注ぐと華やかな香りが広がります。
とは言え、飲んでみてもしつこい香りはなく優しい感じのハーブティーでした。


続いてハーブティーのお供のスイーツ「ダークチェリーのクラフティー(720円)」。
クラフティーを生クリーム、ベリーソース、アイスクリームと好みで絡めていただきます。


ただ、5皿注文あったかなかったかくらいで品切れとなってしまったのが気になりました。
会計を終えて、テーブルにティーカップしかなかったお客さんが多かったのを見たのでちょっとかわいそう。。。

夏の北海道の車窓は、まだ冬が色濃く残っている初春とはまた違った風景でした。
湿原地帯に生い茂る木々はまるでジャングルのよう。


苫小牧駅付近は廊下側となる南側はコンビナートが見えますが、部屋から見える北側は苫小牧運転所が見えます。


苫小牧〜登別では前より多くの競走馬が見られましたが、残念ながら生憎の天気で樽前山はもやに隠れてしまいました・・・


なんかゴツい雰囲気のある登別駅
 

東室蘭駅の発車案内には、寝台列車マークが表示されて感激


夏至の時期となれば流石に北海道でも田植えが終わっています。
ただ本州と比べると緑の割合が少なめ。


有珠山と昭和新山はうっすらと見ることができました。


長和駅停車中のキハ40系とすれ違う。


まもなく道内最後の停車駅、洞爺に到着します。


中編へ