2012年5月3日 風っこ奥会津の旅
私が福島県内のJR路線で唯一乗ったことがない路線があります。それは、会津若松から只見を通り新潟県の小出へと抜ける「只見線」。
本来は2011年初秋に乗車するつもりでしたが、この年7月末の集中豪雨により甚大な被害を受けてしまい断念することに・・・
2012年になった今尚、会津川口〜大白川は未だ復旧の見通しが立ちません。
しかしそんな中、春臨でGWに只見線に風っこが運転されることが決まったので、全線乗車とは行かないものの只見線のよさを味わい、
そして只見線全線復旧に協力したいという想いで乗車することを決めました。

旅行日は元からぐつつく予報が出てたせいか、生憎の空模様・・・
会津若松へは東北ローカル線パスの旅と同じくややゆっくり目に出発し、郡山駅で8:32の快速に乗車して向かいました。


お目当ての風っこは3番線から発車します。
3番線はどちらかと言いますと磐越西線新津方面の列車が多いとイメージしていますが、只見線もたまに発着するホームです。
ただ、LED掲示板には2月のストーブ列車とは違い、ちゃんと「風っこ」の表示がされていました。


だけど、英語表記でも「風っこ」のままなんですけどw


で、こちらが乗車します風っこ奥会津号。約3ヵ月振りの再会。
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ヘッドマークは専用のものを装備しています。
今まで風っこ会津只見号という列車名だったので、新しく作られたHMでしょうか?


サボ。2月に乗ったストーブ列車のと比べると、列車名と全席指定の表示が違います。
(左:風っこ奥会津/右:風っこストーブ列車)
 

車内の様子。本来ならこの時期になればはめ込み窓を取って、自然の風を体に受けることができる本来の「風っこ」を楽しめるはずですが、
この天気のため防雨ビニールブラインドが下ろされていました。



JR職員に見送られつつ、定刻通り会津若松を発車します。
ブラインドの編み目から見える景色はこの通り。うーん、というところはしょうがない...


最初の停車駅の西若松で、只見線普通列車キハ40形と交換します。
車窓から撮影したものがありますが、見るに堪えない写真なのでカットで

西若松を出ると、会津鉄道と分かれます


しばらくは建物が目立ちますが、阿賀川を過ぎると農村の風景に様変わり


しばらくしますと、観光協会の方々からおもてなしサービスが来ました。
まず渡されたのが、南会津観光パンフレットとごんぼクッキー。「ごぼう」を「ごんぼ」と訛っているのが味がありますね。


で、実際のお味は、しっかりごぼうの味がしておいしかったです。野菜嫌いのお子様にはいいかも知れません。

磐越自動車道をくぐり抜けたところ。高速は新潟までほぼまっすぐですがこの只見線は会津若松から会津坂下までUターンするような路線となっています。


そんな訳で会津坂下に到着。県外の人なら多分難読駅名かと思われます。
恥ずかしながら県民の私でさえ高校生まで「あいづさかした」と呼んでいました(笑)。正しくは「あいづばんげ」です。


ここで半数ほどの乗客が降りていきました。
ここからハイキングしていく年配を中心としたお客さんが多く、結構ガラリとしたかと思いましたが結構地元の住民と思われるお客さんが入れ替わりに乗ってきました。

会津坂下から山がちな路線を進むようになり、只見線の本当の沿線景色の美しさを見られることができます。
塔寺手前では進行方向右側に街を高台から見下ろすことができます。

トンネルをくぐると、田舎の農村地帯をひたすら進むと会津柳津に到着です。


駅前やホームの反対側にも桜の木がいくつかあります。残念ながら花びらはもう既に散ってしまいました。
これがまだ桜の見頃だったらとてもいい絵になっていたのですが...
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駅前には、蒸気機関車C11-244が静態保存されています。水害に遭う前は風っこだけでなく現役のC11-325を使ったSLが走っていましたので、
全線復旧とはいがずとも、只見まででも復旧できれば風っこだけでなくSLも乗車したいですね。
 

会津柳津を出発すると、次のおもてなしが来ました。柳津名物・粟饅頭です。


モチモチとした皮の食感とあんの甘さがマッチしていて、これもグッド。
柳津の観光パンフレットによると、かつて柳津は災害が相次いで、災害に「あわ」ないようにと粟饅頭を作り福満虚空蔵尊にお供えしたのが起源とのこと。
ちなみに駅から南の方にある、「福満虚空蔵尊 圓蔵寺」は奥会津で有名な桜の名所でもあります。

列車は只見川沿いをゆっくりと奥会津の山々を縫うように走っていきます。
ところどころで只見川の支流を渡るところの景色は絶景です。
ちなみに車内のブラインドの下から眺めるといい景色が見れる発想に気づきましたw


次の会津宮下到着前に第3のおもてなし。会津のいろんな酒を試飲できるというもの。
焼酎、清酒、濁り酒のほかどぶろくもあり、飲みたい酒を選ぶことができます。


私はどぶろくを選択。どぶろくは一言で言いますと甘くない甘酒です。
おかわりもできましたので、続いてにごり酒をチョイス。それにしてもこれまで会津を走るイベント列車で毎回酒がもてなされているのは、
酒どころ会津という名を強くPRしているんだなぁ、というのが感じられます。
ちなみにお酒が飲めない方には、りんごジュースが振る舞われました。

会津宮下では、タブレットの授受が見られました。
只見線は会津坂下から只見駅までタブレット閉塞を行っており、この会津宮下駅では列車交換が可能な駅ですので授受が行われます。


会津宮下を出るとトンネル区間以外、只見川をはっきりと伺うことが出来ます。


ところどころ豪雨水害の爪痕も見られます。昨年7月末の豪雨がどんなに酷いことだったのやら...


只見川に架かる大きな橋が見えてくると、まもなく終点・会津川口


終点・会津川口に到着しました。隣には発車を待つキハ40形の姿がありました。
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風っこ到着後まもなくキハ40形は会津若松へ向けて発車していきました。ゆっくりと2ショット撮りたかった・・・

只見方には除雪車がいました。冬が来るまでここでずっと待機しているのでしょうか?


ホームを降り、駅舎へと入ります。
時刻表には会津川口からの只見行き代行バスの時刻が載っていました。一日わずか3本しか走っていません。


あと、駅舎には只見線全線復旧への想いを込めたメッセージボードがありました。
この乗車した風っこでは7割程度は埋まっていましたので、全面復旧へのある程度の弾みは付いたような気がします。いや、付いて欲しいと願いたい...


駅の外では、風っこの運転に合わせ出店が並び、白虎隊の舞踊も行われていました。


会津川口駅は郵便局とさらには集配センターまで併設しているという珍しい造りとなっています。
 

ちょうどお昼の時間となりましたので、昼食を食べに行きます。
駅前の通りは、田舎の商店街がズラリと並んでいるような趣のある雰囲気です。


やって来たのは「おふくろ」という食堂です。
会津川口駅前で有名な食事処です。


ここでは「カツカレーミックスラーメン」というのが看板メニューらしいので注文してみました。


注文して待つこと約20分でテーブルに運ばれてきました。
カツカレーミックスラーメン(1000円)


大きめのどんぶりに入ったカレーラーメンに、とんかつが3切れほど乗っています。
麺は中太ちぢれ麺で濃厚なカレースープによく絡んでおいしい。とんかつもサクサク感が残っていますのでなかなか。
そして麺の他ライスが入っており、お腹も心も大満足になれる逸品です。

なお、おふくろは不定休です。
この日のようにイベント列車が運転される日でしたらほぼ確実にやってるかと思いますので、皆様も是非このボリュームのある一杯を味わってみてはいかがでしょうか?

ちょうど帰りの風っこ発車時間を控えていたので駅に戻ります。
出店も大体後片づけに入り、お土産買うの遅かったかな・・・と気はしたのですが、行きの車内でごちそうになった粟饅頭が残っていましたので購入(6個入り500円)。


雨は止むことはなかったので、帰りも安定のビニールブラインド...
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雨の影響で、茶色く濁った只見川を眺めつつ走っていきます。
でも、これまで激しいと言うほどの雨は降らなかったのでよかったです。


帰りはお酒の試飲もてなしのみありました。
流石に帰りもお酒・・・はちょっと勘弁でしたのでリンゴジュースを貰い持ち帰りました。


宮下ダムと桜、ここの桜は幸いにもまだ完全に散らずにまだきれいな姿を残していました。


宮下駅では列車交換がありますので、しばらく停車します。
会津川口に続き、キハ40形との並び。それもホームを挟まず隣同士なのでなかなかいい写真が撮れました。
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キハ40形でタブレットを交換する場面


会津宮下を過ぎ、渓谷の風景から平地が多くなると旅もそろそろ終わるんだなぁ・・・というのを感じさせてくれます
 

でも、会津坂下〜西若松はところどころ果樹園が見られるけど何の果物が盛んなのやら?

阿賀川を渡ればもう西若松。ここでし会津鉄道の列車の交換待ち合わせがありました。
会津鉄道の車両は、野口英世とその母シカが描かれた、新1000yen札発行記念車両AT-500形です。
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あ、そうそう、上り列車では指定席券を料金補充券にて乗車しました。発行駅名伏せているのは私がよく料補買いに行く駅ですので(ただtwitterにはたまに公にしてますがw)
ところが復路では検札が全く行われなかったので、ここでスタンパーを頂きました。


西若松からしばらくの乗車で、終点・会津若松に到着しました。
隣にいるのは磐越西線キハ110系です。



このまま16:21の郡山行きで引き返すのも悪くないのですが、元日光で使われていたあいづライナーに乗りたいため、会津若松で約1時間過ごしていました。

そして、17時頃再びホーム入りします。
すでに元日光の485系G55・58編成がスタンバイしていました。
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ドア付近サボ下には起きあがり小坊師が描かれています。


運転席側にはあかべぇが


続いて車内の様子。近年よく見られるデザインの2+2のシートが並びます。
 

座席には背面テーブルだけでなく、肘掛けにあるミニテーブルも装備してあります。


ちなみに、この元日光あいづライナー、先月にも磐梯熱海に温泉入りに行った時も乗りました(ブログ参照)
その時の写真も混ざってる点は悪しからず(笑)

このあいづライナーも、料金補充券で乗りました。
実は会津川口に着いてまずやったことが、このあいづライナー指定券の発券だったりしますw


只見線の有人駅でみどりの窓口のある駅は、会津坂下だけしかなく他はPOS端末設置駅で指定席券は料金補充券での発券となります。
と、言っても只見線で若松小出以外で有人駅は、西若松、会津坂下、会津宮下、会津川口、只見しかありません。
ちなみに、今回乗りました風っこ奥会津も料補で乗るお客さんもちらほら。会津川口でも私の他にも風っこの指定頼んでいたお客さんがいまして駅員さんが大変そうでした。


徐々に薄暗くなる空を見つめながら約1時間。郡山に到着しました。
雨が強く降っており、郡山へ向かう途中途中磐梯熱海で下り列車が遅れたため、郡山到着は約8分遅れることに。

まぁそんなわけで、とりあえず無事に帰宅することができました。
旅の翌日は磐越西線が運転見合わせとなり、GW中盤に襲った低気圧の威力は恐ろしかったですね。。。

最後に今回使用したきっぷ達。あいづライナーの料補以外を並べてみました。

小さな旅ホリデーパスでは、只見線は会津坂下までしか利用できないため、そこから先は別途乗車券を購入する必要があります。
お得きっぷには他にも会津ぐるっとカードがありますが、これも柳津までしか利用できないのでちょっと値上げしてもいいから会津川口まで使えるといいのですけども...
あとそう言えば会津川口と会津宮下で入場券買っておけばよかったと後悔。CTC化されると無人化される可能性高いですので。


2011年7月末に襲った集中豪雨で被害を受けた唯一復旧の目処が立たない只見線。いつか必ず全線復旧することを願い、
全線復旧したら必ずまた乗りに行きたい、そんな路線でした。
田子倉湖とか一度見てみたいですね・・・


おわり